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笑い話でかい顔近くの消防署に顔の大きい人がいる。と聞くと、好意的な人であれば 「態度が大きい人」や「人脈の豊かな人(顔が広いの間違いか?)」と言った比喩かと思うかもしれない。 いや、遠慮しなくていい。構造学的な表現である。解剖学的に言えば顔面部が肥大しているのだ。 神様も、「顔の小さいカバ」とするか「顔の大きいヒト」とするか最後まで悩んだはずである。 結局、知性がカバよりもヒトに近かったため、反則ギリギリでヒトとして生まれたのだが、 この「遠くにいるのに顔が大きく見える」という 近代美術の遠近法を根底から無視した顔が、様々な問題を起こしている。 おそらく、この文章を読むヒトの多くが「大げさな・・・」「ネタだろう・・・」と思うであろう。 世の中はEvidence basedの時代である。ここに証拠として、その人の人生において付けられてきた あだ名の一部を列挙する。 「ムーミン」「モアイ」「二頭身」「一頭身(←そんなムチャな)」「カバ」 ひどいものになると、ストレートに「顔」と呼ばれたこともあるそうだ。 前置きが長くなったが、筆舌に尽くしがたい大きさの顔を、何とか文章で表現しようと言うのだから、 このくらいの長さは仕方がないのである。テキストサイト管理者の意地なのである。 この人が、訓練礼式に参加した。訓練礼式と言うのは、制服を着て整列したり行進したりするもので、 消防の規律をアピールするためのイベントである。 訓練礼式の練習中にそれは起こった。 側面縦隊(縦4列に並ぶ整列法)を作り、指導者が列が乱れていないか点検していた。 「2番目のやつ、右にずれてるぞ!」とか「5番目から左に曲がってるぞ」などと指摘が続く。 そして、問題の大きな顔がいる列を点検したとき、2人の指導者が同時に叫んだ 「3番目!右にはみ出してるぞ」「3番目!左にはみ出してるぞ!」 悩んだ「顔」はユラユラと左右に揺れ始め、何とか2つの指摘事項に従おうとするが、 どこかに隠そうなどというケチな考えで作られた顔ではないため、その存在をますます強調することになる。 4番目以降の隊員は、鬼のような形相で笑いをこらえていたが、ついに一人が「クッ・・プ・・」と 声を漏らしてしまった。 それは、すでに笑いの爆発下限界を超えた環境での発火源としては十分であり、 次の瞬間、揺れ動く顔を取り囲む笑いの爆燃が発生した。 規律と厳格さは吹き飛び、その訓練ははただのお笑いイベントとして終了した。 ●戻る● |