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笑い話

ヘリ搬送



ある大学病院が、ドクターヘリ体制を導入した。というか、させられた。
立派なヘリポートが屋上に作られ、ベル社製の小型ヘリが常時待機することになる。
ハード面での設備は整い、人的整備の目処もつき、いよいよ数日後には運用開始というある日
山岳部を管轄する救急隊からドクターヘリの要請が入った。

病院のドクターヘリは、設備こそ整っているものの、人的編成がすぐには用意できないため、
防災ヘリを使った従来のドクターヘリ運用となる。救急車が医者を乗せて防災航空隊基地まで
搬送し、ヘリは力強く飛び立って行った。

通常、患者を収容したヘリは再び防災航空隊基地に飛んで帰り、そこから救急車に乗り換えて
病院に向かうことになる。
「じゃ、到着の時間がわかったら呼んでください」と、いったん引き揚げる救急隊。

防災航空隊と防災基地は、通常のFM波を使って交信する。
航空隊→基地→指令室→救急隊 と救急車要請が入るため、交信の傍受をすると
基地に何時ごろ向かえばいいのかの情報が少し早く手に入るのだ。

「防災航空ヘリ1から防災航空基地どうぞ」
「防災航空ヘリ1どうぞ」
「現場救急隊とランデブーしました。現在、患者収容作業中。防災基地到着は○○時○○分予定。どうぞ」
「患者収容中の件、了解。なお、○○病院救命センターから連絡が入りました。病院のヘリポートが使えるので
直接病院まで搬送してくださいとのことです。同乗ドクターに連絡の上、直接向かわれたい。どうぞ」
「○○病院ヘリポートへ直接搬送の件、ヘリ1了解。なお、到着は○○時××分予定。どうぞ」
「防災航空基地、了解」


なるほどなるほど。ヘリポートは完成しているのだから、そのまま搬送したほうが患者さんにとって
やさしいわけだ。この柔軟な活動により、救急隊の出動はなくなった。

数分後、

「ぼ、防災航空ヘリ1から防災航空基地どうぞ」
「ヘリ1どうぞ」
「お、屋上にヘリが1機とまっています」
「??再度願います」
「○○病院の屋上ヘリポートに、小型のヘリが駐機しています。着陸できません」
「りょ、了解。病院に連絡を取りますので、待機願います。どうぞ」
「えー、燃料の問題でホバリング可能時間は10分です」
「りょ、了解。速やかに連絡を取りますので待機願います。」


錯綜する無線交信。普段は冷静な航空隊無線の声が少しうわずっていた。
そりゃあ、降りようとした場所に当たり前のようにヘリが停まってたら驚くだろう。


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結局、準備作業をしていた整備士他のスタッフにてヘリを移動させて無事、着陸できたようです。




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