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笑い話

けんか



と〜っても仲の悪い2人の救急隊員がいた。普通、救急隊は3人で活動するので、少々中が悪くても
皆気をつけて業務に支障をきたさない様にするものなのだが、この2人は違った。

ことあるごとに喧嘩(時には殴り合い)をして、その隊のほかのメンバーを冷や冷やさせた。
隊で飲みに行くときなどは2人が接触しないようにするのが大変だったそうである。

あるとき救急指令がかかり、その2人と他1名で救急出場をした。
内容は大したことのない急病人で、担架に乗せて救急車に運ぶことになった。

ご存知かもしれないが、救急車には「ストレッチャー」という車輪付きの担架がある。
ストレッチャーに患者を乗せた状態で救急車に入れるには高さを一番高い位置にするのだが、
その作業は必ず2人、安全に行うには3人で作業しなければならない。

何が悪かったのか、それとも運命の必然だったのか、ストレッチャーの頭側と足側に付いたのが
その仲の悪い2人であった。その配置を見た瞬間、もう1人の隊員は血の気が引いたという。

ストレッチャーを持ち上げるにはタイミングが重要になる。当然その2人で
タイミングが合うはずもなく、何度も上げ直すがうまくいかない。

局地戦勃発である。
「テメ〜何やってやがんだ!上がんねーじゃねーかぁ!」
「オメ〜がレバー握ってねーからだろーが!ボケ!」


しまったという顔の残りの隊員と呆然とする家族達
すると、ストレッチャーに寝ていた患者が慌ててガバッと起き上がり、両手を広げて
「ま・・・まぁまぁ2人とも落ち着いて・・・」

患者にしてみれば、何度も担架が上下したと思ったらいきなり頭の上と足の下で喧嘩が始まり
さぞ驚いたことであろう。

患者に喧嘩を止められた空前絶後の救急隊も今は存在しない。

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