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雑学

救急活動の法的根拠



多くの救急隊員が苦手な、救急活動の法的根拠について、大雑把な解説をします。
なお、本文はあくまでもひとつの情報なので、その真偽についてはご自身で確認を取ってください。


消防法第2条9項
救急業務とは、災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入りする場所において生じた事故(以下、この項において「災害による事故等」という。)又は政令で定める場合における災害による事故等に順ずる事故その他の事由で政令で定めるものによる傷病者のうち、医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によって医療機関(厚生労働省令で定める医療機関をいう。)その他の場所に搬送すること(傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、緊急やむを得ないものとして、応急の手当を行うことを含む。)をいう。

消防法施行令第42条
法第2条第9項の災害による事故等に準ずる事故その他の事由で政令で定めるものは、屋内において生じた事故又は生命に危険を及ぼし、若しくは著しく悪化するおそれがあると認められる症状を示す疾病とし、同項の政令で定める場合は、当該事故その他の事由による傷病者を医療機関その他の場所に迅速に搬送するための適当な手段がない場合とする。

※消防法第2条9項が、本来の救急業務。意外と範囲は狭い。この項が、救急隊員(救急救命士を除く)が応急処置をするための「法律レベル」での唯一の根拠ともなっている。日常の救急事案で最も多い「急病」は本来の業務範囲ではなく、施行令42条で定義されている。救急活動の1〜2割程度存在する「転院搬送」は、法律レベルでは救急業務とみなされていない(救急事故等報告要領の報告対象にはなっている)。市町村によっては条例や規則で定義している場合もある。

救急業務実施基準第10条
救急自動車の側面には、当該市町村の消防本部名又は消防署名若しくは救急隊名を標示するものとする。

※あの見慣れたペイントにもちゃんと根拠があるのですよ。

救急業務実施基準第12条
消防長又は消防署長は、救急事故が、発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数および傷病の程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。

※つまり、原則として救急要請があった場合には出場しなければならないってことです。

救急業務実施基準第12条の2
消防長は、救急要請時に、指令室又は現場出動途上の救急自動車等から、救急現場付近にあるものに、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。

※口頭指導は一応努力義務になってます。最近は口頭指導の結果の容体悪化を恐れて、全国的に自粛ぎみ。

救急業務実施基準第13条
隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。

※一部の例外を除いて、嫌がる人に無理やり医療を受けさせることはできません。救急車も同様です。

救急業務実施基準第15条
隊員は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。

※これはあくまでも実施基準です。法律レベルの根拠としては、「軽減するべき被害がない」ことから、消防法1条の消防の任務に該当しないってことです。

救急業務実施基準第16条
隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、つとめてこれに応ずるものとする。

※むしろ、こっちがお願いして乗ってもらうことが多いですが。

救急業務実施基準第20条
隊員は、救急活動を行った場合は、救急活動記録票等に救急活動を行った年月日、傷病者の状態、住所、氏名、年齢及び性別並びに活動概要等所用の事項を記録しておくものとする。
2 隊員は、傷病者を搬送し、医療機関に引き渡した場合は、当該事実を確認する医師の署名又は押印を受けるとともに、傷病名を傷病程度等について、当該医師の所見を聴し、救急活動記録表等に記録しておくものとする。
3 隊員は、応急処置等を行うに際し、医師の指示があった場合には、当該医師の氏名及びその指示内容を救急活動記録表等に記録しておくものとする。

※救急活動記録票の記載事項です。このほかに、救急事故等報告要領に定められている調査項目を記載しなければなりません。なお、救急活動記録票は救急救命処置録を兼ねることができます。たまに勘違いされることがありますが、救命士が救命処置録を作成するのは、特定行為を行ったときだけではありません。救命士法2条の広い意味での救急救命処置全てで作成する必要があります。特定行為を行っていない場合の記載項目は簡単なので、通常は救急活動記録票を1枚書けばことが足りるわけです。

消防力の整備指針第15条
市町村に配置する救急自動車の数は、人口十五万以下の市町村にあってはおおむね人口三万人ごとに一台を基準とし、人口十五万を超える市町村にあっては五台に人口十五万を超える人口についておおむね人口六万ごとに一台を加算した台数を基準として、当該市町村の昼間人口及び一世帯あたりの人口、救急業務に係る出動の状況等を勘案した数とする。
2 前項の規定による救急自動車は、署所が管理するものとする。

消防力の整備指針第30条
救急自動車に搭乗する救急隊の隊員の数は、救急自動車一台につき三人とする。ただし、傷病者を一の医療機関から他の医療機関へ搬送する場合であって、これらの医療機関に勤務する医師、看護師、准看護師又は救急救命士が救急自動車に同乗しているときは、救急自動車一台につき二人とすることができる。
2 救急用航空機に搭乗する救急隊の隊員の数は、救急用航空機一機につき二人とする。
3 第一項の規定による救急自動車に搭乗する救急隊の隊員のうち、一人は消防司令補又は消防士長とするものとする。
4 第一項の規定による救急自動車及び第二項の規定による救急用航空機に搭乗する救急隊の隊員のうち、一人以上は、救急救命士法(平成三年法律第三十六号)第三条に基づき救急救命士の免許を受けているものとするものとする。

※救急車の乗車要員に関する指針。転院搬送の場合には隊員2名で運用できるようになりました。現実的にはあえて1人おろすメリットもないような気がするのですがどうでしょう。

救急救命士法第2条
この法律で「救急救命処置」とは、その症状が著しく悪化するおそれがあり、又はその生命が危険な状態にある傷病者(以下、この項及び第四十四条第二項において「重度傷病者」という。)が病院又は診療所に搬送されるまでの間に、当該重度傷病者に対して当該重度傷病者に対して行われる気道の確保、心拍の回復その他の処置であって、当該重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、又はその生命の危険を回避するために緊急に必要なものを言う。
2 この法律で「救急救命士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、救急救命士の名称を用いて、医師の指示の下に、救急救命処置を行うことを業とする者をいう。

※いわゆる「包括指示」の根拠。救急救命士が行う処置は、すべてが「救急救命処置」です。その中で、「特定行為」と呼ばれるものが44条で規定されており、それ以外の救急救命処置は2条が根拠になります。例えば、除細動は以前は44条に規定されていましたが、現在は削除されたので、2条の包括指示で行えるようになりました。それ以外にも、例えば経鼻エアウエイを使うとか、喉頭鏡と鉗子を使って異物除去をするとかは、すべて2条が根拠の「包括指示」による救急救命処置です。同じ行為でも、救命士以外の救急隊員が行う場合には消防法2条が根拠となります。救命士法2条の具体的な範囲は、「救急救命処置の範囲等について」という通達で定められています。平成21年3月に「エピペン」の投与が加わった件でご存知の方も多いのではないでしょうか。

救急救命士法第43条
救急救命士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として救急救命処置を行うことを業とすることができる。
2 前項の規定は、第九条第一項の規定により救急救命士の名称の使用の停止を命ぜられているものについては適用しない。

※つまり、救急救命士法は保助看法の特別法と考えることができます。救命士は業務独占ではありません。名称独占です。

救急救命士法第44条
救急救命士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生労働省令で定める救急救命処置を行ってはならない。
2 救急救命士は、救急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって厚生労働省令で定めるもの(以下この項及び第五十三条第二項において「救急用自動車等」という。)以外の場所においてその業務を行ってはならない。ただし、病院又は診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合は、この限りでない。

※1項は特定行為の制限に関する規定。2項は救命士が他の職域を侵さないための場所的制限の規定。例えば、病院に勤めたり競技場に勤めたりしても、そこで救急救命処置を行うことはできません。

第48条
救急救命士でないものは、救急救命士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

※名称独占についての具体的な規定。罰則があります。市販されているバッグで、「PARAMEDIC」とか「EMS」とかプリントされているものがありますが、問題になっていないところを見ると多分セーフなのでしょう。

救急救命士法施行規則第21条
法第四十四条第一項の厚生労働省令で定める救急救命処置は、重度傷病者(その症状が著しく悪化するおそれがあり、又は、その生命が危険な状態にある傷病者を言う。以下次条において同じ。)のうち心肺機能停止状態の患者に対するものであって、次に掲げるものとする。
一 厚生労働大臣の指定する薬剤を用いた静脈路確保のための輸液
二 厚生労働大臣の指定する器具による気道確保
三 厚生労働大臣の指定する薬剤の投与

※以前は、ここに半自動式除細動器による除細動という項目がありました。これが削除されたというのが、「包括指示除細動」の正体です。





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