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笑い話忘れ物ひとたび火災や救急が発生すると、実にいろいろな「忘れ物」が発生する。 火災の場合には、仮に現場に忘れ物をしても、鎮火した後に行う火災調査で発見できるが、 救急事案の場合、気付くのは病院で患者室(救急車の後側のスペース)を片付けているときか帰署した後である。 大体忘れる物はどの救急隊も同じで、 「体温計をいれたまま病院に引き渡してしまった」 「毛布を患者の家に持って行ったが使わずに置いてきてしまった」 「首を固定する器具をつけたまま病院に引き渡してしまった」 こんな感じで、たいていは消耗品や小物が多い。だが、数ある救急隊の中にはツワモノもいる。 ある救急隊が患者を病院に運んだとき、家族が「ガスを止めてきたかわからない」と言い出した。 それは大変と言うことで鍵を預かり救急隊で確認に行くことになった。 「どうだ?ガス、止まってるか?」 「あ〜大丈夫そうですね。風呂場も大丈夫だし、台所の湯沸かし器もコンロも止まってますね」 「そりゃよかった。じゃ、帰るぞ」 「ちょっと待ってください・・・あれは、ひょっとしてウチのじゃないですか?」 「何が?」 隊長が見に行くと、患者が寝ていた部屋に救急隊の救急バッグがポツンと置かれていた。 救急バッグといっても決して小さなものではなく、中には酸素ボンベ、手動人工呼吸器、 それに各種の呼吸管理用のチューブなどが入っている大きなものだ。 一式で軽く十万円を超える資器材であり、隊員たちは一瞬血の気が引いたが、 安堵のため息とともに家族に鍵を返しに行った。 ・ ・ ・ これ以上の話はもうないだろうと思っていたのだが、もっとすごい忘れ物があった。 ある救急隊が患者を病院でおろし、帰署する途中に、 「あ〜!!大変だ〜〜!」という声が患者室から聞こえてきたのだ。 あわててブレーキを踏み込む機関員。「どうした?何があった?」と後ろを振り返る隊長。 「ストレッチャーを病院に置いてきた〜」 気づいた時点ですでに消防署への道半ばであった。それにしても、3人もいて誰も気づかないとは たいしたメンバーである。 ●戻る● |